「歯医者と患者のコミュニケーションを助ける歯科用語講座」
こんにちは。今回は工藤が担当致します。
医科・歯科に限らず、色々な職業に色々な専門用語がありますね。我々の歯科業界でも新しい用語が日々増えていき、またほぼ死語となりつつあるものも数多いのが現状です。
「歯槽膿漏」という言葉は、多くの方が聞き覚えがあるでしょう。この「歯槽膿漏」とは、文字通り歯と歯ぐきの境目から膿(うみ)が漏れていることを表していますが、現在では、歯科医師会や歯周病学会等による長年にわたる啓蒙活動、さらに某メーカーの「歯周病菌からあなたを守る・・・」などの広告宣伝などにより、「歯周病」という学術用語の方が多くの人々に受け入れられるようになりました。
「歯周病」とは、歯肉だけが赤く腫れあがった状態(歯肉炎)から、歯を支える骨が吸収してしまい歯がぐらつくような状態(重度歯周炎)までを含む病名であり、一方「歯槽膿漏」という言葉は「歯周病」の中でも中等度以上に進行した状態だけを表しています。かつて「歯周病」は「歯槽膿漏」の状態まで進行し自覚症状が出てくるまで、一般的には病気として受け止めてもらえないことが多かったのです。しかし正しい用語の普及によって、多くの人々が「歯周病」の初期の段階(自覚症状のほとんどない時期)から病識を持ってくれるようになり、さらにこの病気の重症化を防ぐ一助となっているように思われます。
このように一般名が専門用語に置き換わって行く例もあれば、未だに一般名の方が患者さんにとって病態などがイメージしやすいものも沢山あります。「さし歯」「銀歯」「せとの歯」など枚挙に暇がありません。例として、「さし歯」とはどのようなものでしょうか。通常、芯棒と人工歯が一体になったもの(補綴物)を表し、これを歯根に差し込んで歯の形態を回復するものです。
現在では補綴物の精度や耐久性の点から、ほとんどの場合、芯棒と人工歯は一体化させません。しかしながら、「さし歯がとれた!」と患者さんが訴える場合、芯棒ごと歯がとれた、上から被せている人工歯がとれた、あるいは詰め物(プラスティックや小さな金属)がとれた、など色々な状況が想定されます。このように患者さんが「さし歯」という言葉を使う場合は、非常に広い意味を持っていると言えるでしょう。
専門用語は、我々歯科医にとって部位や状態、病態などをイメージする為の便利な道具ですが、患者さんにとっては何やらチンプンカンプンで、言語明瞭・意味不明!!となってしまうかもしれません。一方、専門用語にかなり詳しい患者さんが時折いらっしゃいますが、その用語の使い方が必ずしも我々のイメージと一致するわけではなく、かえって齟齬を生んでしまうこともあります。
インフォームド・コンセントと言われて久しいですが、歯科医・患者双方に共通のイメージが出来なければ、いくら時間をかけて説明しても時間の無駄になってしまいます。意思統一がなされぬまま治療が進んでしまうと、土壇場になって「こんなはずじゃなかった!」と双方が落胆する結果になりかねません。一方通行ではなく、何度も説明、確認、承諾の過程を繰り返しながら、歯科医・患者双方が協力し合い治療を進めていくことが肝要と思います。
我々の診療室では、説明のために可能な限り時間を使い、レントゲン写真や模型、パンフレットなどのツールを使って相互の共通認識を得る努力をしております。説明で解らないことや治療についての疑問などは、遠慮せずに担当医やスタッフにお尋ね下さい。
▽総合的な治療が可能な歯科医院です
医療法人 二期会歯科クリニック / 矯正歯科 小児歯科 歯科口腔外科 審美歯科
札幌市中央区北3条西2丁目 NC北専北3条ビル8F TEL:011-251-2220
こんにちは。今回は工藤が担当致します。
医科・歯科に限らず、色々な職業に色々な専門用語がありますね。我々の歯科業界でも新しい用語が日々増えていき、またほぼ死語となりつつあるものも数多いのが現状です。
「歯槽膿漏」という言葉は、多くの方が聞き覚えがあるでしょう。この「歯槽膿漏」とは、文字通り歯と歯ぐきの境目から膿(うみ)が漏れていることを表していますが、現在では、歯科医師会や歯周病学会等による長年にわたる啓蒙活動、さらに某メーカーの「歯周病菌からあなたを守る・・・」などの広告宣伝などにより、「歯周病」という学術用語の方が多くの人々に受け入れられるようになりました。
「歯周病」とは、歯肉だけが赤く腫れあがった状態(歯肉炎)から、歯を支える骨が吸収してしまい歯がぐらつくような状態(重度歯周炎)までを含む病名であり、一方「歯槽膿漏」という言葉は「歯周病」の中でも中等度以上に進行した状態だけを表しています。かつて「歯周病」は「歯槽膿漏」の状態まで進行し自覚症状が出てくるまで、一般的には病気として受け止めてもらえないことが多かったのです。しかし正しい用語の普及によって、多くの人々が「歯周病」の初期の段階(自覚症状のほとんどない時期)から病識を持ってくれるようになり、さらにこの病気の重症化を防ぐ一助となっているように思われます。
このように一般名が専門用語に置き換わって行く例もあれば、未だに一般名の方が患者さんにとって病態などがイメージしやすいものも沢山あります。「さし歯」「銀歯」「せとの歯」など枚挙に暇がありません。例として、「さし歯」とはどのようなものでしょうか。通常、芯棒と人工歯が一体になったもの(補綴物)を表し、これを歯根に差し込んで歯の形態を回復するものです。
現在では補綴物の精度や耐久性の点から、ほとんどの場合、芯棒と人工歯は一体化させません。しかしながら、「さし歯がとれた!」と患者さんが訴える場合、芯棒ごと歯がとれた、上から被せている人工歯がとれた、あるいは詰め物(プラスティックや小さな金属)がとれた、など色々な状況が想定されます。このように患者さんが「さし歯」という言葉を使う場合は、非常に広い意味を持っていると言えるでしょう。
専門用語は、我々歯科医にとって部位や状態、病態などをイメージする為の便利な道具ですが、患者さんにとっては何やらチンプンカンプンで、言語明瞭・意味不明!!となってしまうかもしれません。一方、専門用語にかなり詳しい患者さんが時折いらっしゃいますが、その用語の使い方が必ずしも我々のイメージと一致するわけではなく、かえって齟齬を生んでしまうこともあります。
インフォームド・コンセントと言われて久しいですが、歯科医・患者双方に共通のイメージが出来なければ、いくら時間をかけて説明しても時間の無駄になってしまいます。意思統一がなされぬまま治療が進んでしまうと、土壇場になって「こんなはずじゃなかった!」と双方が落胆する結果になりかねません。一方通行ではなく、何度も説明、確認、承諾の過程を繰り返しながら、歯科医・患者双方が協力し合い治療を進めていくことが肝要と思います。
我々の診療室では、説明のために可能な限り時間を使い、レントゲン写真や模型、パンフレットなどのツールを使って相互の共通認識を得る努力をしております。説明で解らないことや治療についての疑問などは、遠慮せずに担当医やスタッフにお尋ね下さい。
▽総合的な治療が可能な歯科医院です
医療法人 二期会歯科クリニック / 矯正歯科 小児歯科 歯科口腔外科 審美歯科
札幌市中央区北3条西2丁目 NC北専北3条ビル8F TEL:011-251-2220
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by nikikai_sapporo
| 2008-03-18 07:01
| Dr.工藤 諭