「ペットと歯周病」
歯周病の治療を中心に、入れ歯からインプラントまで主として成人の治療を担当している本間です。
我が家で犬を飼って12年と半年になります。ウエルッシュコー ギーのメスで名前はメグです。メグはなぜか犬嫌いで、散歩の折り に向こうからよその犬が来ると、横道に逸れようとします。反対に人が大好きです。来客があると飛び回って大騒ぎし、遊んでくれとせがみます。加齢とともに足元がおぼつかなくなり、昨年頃から散歩に行くのもおっくうになるようになりました。
先月には鼻血が出て止まらなくなり、衰弱してきました。かかりつけの獣医さんを受診して血液検査をしたところ、診断は血小板減少症で重度の貧血状態とのことでした。
![コラム・第9回 / Dr.本間 博 [二期会歯科クリニック]_c0130091_16474650.jpg](https://pds.exblog.jp/pds/1/200807/20/91/c0130091_16474650.jpg)
ご存知のように血小板は血液の凝固機能に深く関わっており、減少すると止血が困難になります。その時はあいにく輸血してくれる大型犬が見つかりませんでしたが、ステロイドと造血剤の投与で事なきを得ました。今は元気になって、元のように大きな声で吠えてえさをねだっています。
![コラム・第9回 / Dr.本間 博 [二期会歯科クリニック]_c0130091_16475751.jpg](https://pds.exblog.jp/pds/1/200807/20/91/c0130091_16475751.jpg)
さて、ペットのえさといえば犬や猫を飼っている方はどのようなものを選んでいるのでしょう。私が大学を卒業して、歯周病を専門に研究する講座に入局し動物実験をしていたときのことをお話ししてみたいと思います。そのときはサルに短期間で歯周病を引き起こす実験をしていました。そのさい重要なのは、えさなのです。
一般には飼育しているサルにはモンキービスケットというとても硬い飼料を与えますが、実験ではこれに水を加えてどろどろにしたものをやります。もちろん動物は自分では歯磨きなどできませんから、この泥状のえさは歯の周囲にどんどん付着してとても不潔な状態になります。
そこに口の中の細菌が増殖して歯垢となり、この歯垢中の細菌が生産する毒素が歯ぐきに炎症を引き起こすのです。その結果歯ぐきが腫れたり出血してきます。さらにこの状態が永く続くと歯を支えている骨にまで炎症が波及して、まさに人間と同じような歯周病になってしまうのです。
歯は動物にとって摂食のための道具であるとともに、闘争の手段です。野生動物にとって歯を失うことは即、死を意味します。私の恩師である故石川純先生が野生の日本ザルの食性と口腔内の調査をしたことがあります。その結果、野生のサルは果物の種が大好物でそのほかに木の根や葉を主食にしており、口の中は大変清潔であることがわかりました。
歯に植物の色素が付着して一見汚れているように見えますが、虫歯や歯周病などはまったく見当たらなかったのです。これに反して人間の食べているものと同じ調理された軟らかなえさを毎日与えられているペットの口の中は出血や排膿、口臭など惨憺たるものです。
人類は文明の発展とともに食事をおいしく楽しむことを憶えました。しかし軟らかく調理した食物は歯に付着しやすく、手入れを怠るとたちまちデンタルプラーク(歯垢)が増え、虫歯と歯周病の原因になります。特に砂糖が多く含まれているケーキや清涼飲料などはプラーク形成能が高いのです。
禁断の果実を食べて快楽を覚え、エデンの園を追われたアダムとイブの末裔である我われ現代人は、いまさら原始の生活に戻ることはできません。今、地球温暖化やメタボリック症候群が大きな問題になっているように、自然の摂理に反した生活を続けると、いつかその代償を払わなければならないときがやってきます。
せめておいしいものを食べても虫歯や歯周病にならずに済むように、毎食後の丁寧なブラッシングの励行や定期検査を欠かさず受けて、常に口腔内を清潔で健康に保ちたいものです。
ちなみにメグのえさは硬いドッグフードで、おやつはささみや砂肝のジャーキーです。ときどきなだめすかして私が歯を磨いてやります。最近は年とともに気難しくなり歯石を取るのを嫌がりますが、口の中は清潔です。
![コラム・第9回 / Dr.本間 博 [二期会歯科クリニック]_c0130091_1648744.jpg](https://pds.exblog.jp/pds/1/200807/20/91/c0130091_1648744.jpg)
▽総合的な治療が可能な歯科医院です
医療法人 二期会歯科クリニック / 矯正歯科 小児歯科 歯科口腔外科 審美歯科
札幌市中央区北3条西2丁目 NC北専北3条ビル8F TEL:011-251-2220
歯周病の治療を中心に、入れ歯からインプラントまで主として成人の治療を担当している本間です。
我が家で犬を飼って12年と半年になります。ウエルッシュコー ギーのメスで名前はメグです。メグはなぜか犬嫌いで、散歩の折り に向こうからよその犬が来ると、横道に逸れようとします。反対に人が大好きです。来客があると飛び回って大騒ぎし、遊んでくれとせがみます。加齢とともに足元がおぼつかなくなり、昨年頃から散歩に行くのもおっくうになるようになりました。
先月には鼻血が出て止まらなくなり、衰弱してきました。かかりつけの獣医さんを受診して血液検査をしたところ、診断は血小板減少症で重度の貧血状態とのことでした。
![コラム・第9回 / Dr.本間 博 [二期会歯科クリニック]_c0130091_16474650.jpg](https://pds.exblog.jp/pds/1/200807/20/91/c0130091_16474650.jpg)
ご存知のように血小板は血液の凝固機能に深く関わっており、減少すると止血が困難になります。その時はあいにく輸血してくれる大型犬が見つかりませんでしたが、ステロイドと造血剤の投与で事なきを得ました。今は元気になって、元のように大きな声で吠えてえさをねだっています。
![コラム・第9回 / Dr.本間 博 [二期会歯科クリニック]_c0130091_16475751.jpg](https://pds.exblog.jp/pds/1/200807/20/91/c0130091_16475751.jpg)
さて、ペットのえさといえば犬や猫を飼っている方はどのようなものを選んでいるのでしょう。私が大学を卒業して、歯周病を専門に研究する講座に入局し動物実験をしていたときのことをお話ししてみたいと思います。そのときはサルに短期間で歯周病を引き起こす実験をしていました。そのさい重要なのは、えさなのです。
一般には飼育しているサルにはモンキービスケットというとても硬い飼料を与えますが、実験ではこれに水を加えてどろどろにしたものをやります。もちろん動物は自分では歯磨きなどできませんから、この泥状のえさは歯の周囲にどんどん付着してとても不潔な状態になります。
そこに口の中の細菌が増殖して歯垢となり、この歯垢中の細菌が生産する毒素が歯ぐきに炎症を引き起こすのです。その結果歯ぐきが腫れたり出血してきます。さらにこの状態が永く続くと歯を支えている骨にまで炎症が波及して、まさに人間と同じような歯周病になってしまうのです。
歯は動物にとって摂食のための道具であるとともに、闘争の手段です。野生動物にとって歯を失うことは即、死を意味します。私の恩師である故石川純先生が野生の日本ザルの食性と口腔内の調査をしたことがあります。その結果、野生のサルは果物の種が大好物でそのほかに木の根や葉を主食にしており、口の中は大変清潔であることがわかりました。
歯に植物の色素が付着して一見汚れているように見えますが、虫歯や歯周病などはまったく見当たらなかったのです。これに反して人間の食べているものと同じ調理された軟らかなえさを毎日与えられているペットの口の中は出血や排膿、口臭など惨憺たるものです。
人類は文明の発展とともに食事をおいしく楽しむことを憶えました。しかし軟らかく調理した食物は歯に付着しやすく、手入れを怠るとたちまちデンタルプラーク(歯垢)が増え、虫歯と歯周病の原因になります。特に砂糖が多く含まれているケーキや清涼飲料などはプラーク形成能が高いのです。
禁断の果実を食べて快楽を覚え、エデンの園を追われたアダムとイブの末裔である我われ現代人は、いまさら原始の生活に戻ることはできません。今、地球温暖化やメタボリック症候群が大きな問題になっているように、自然の摂理に反した生活を続けると、いつかその代償を払わなければならないときがやってきます。
せめておいしいものを食べても虫歯や歯周病にならずに済むように、毎食後の丁寧なブラッシングの励行や定期検査を欠かさず受けて、常に口腔内を清潔で健康に保ちたいものです。
ちなみにメグのえさは硬いドッグフードで、おやつはささみや砂肝のジャーキーです。ときどきなだめすかして私が歯を磨いてやります。最近は年とともに気難しくなり歯石を取るのを嫌がりますが、口の中は清潔です。
![コラム・第9回 / Dr.本間 博 [二期会歯科クリニック]_c0130091_1648744.jpg](https://pds.exblog.jp/pds/1/200807/20/91/c0130091_1648744.jpg)
▽総合的な治療が可能な歯科医院です
医療法人 二期会歯科クリニック / 矯正歯科 小児歯科 歯科口腔外科 審美歯科
札幌市中央区北3条西2丁目 NC北専北3条ビル8F TEL:011-251-2220
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by nikikai_sapporo
| 2008-07-20 16:55