「患者さんの不安を取り除くために私が心がけていること」 佐藤 禎
~患者さんに安心して診療を受けていただくこと~あらためて考えると、これは難しいことです。
患者さんはどのような状況で不安を感じるのでしょうか?診療中でしょうか、診療を受ける直前に待合室で待っているときでしょうか、それとも次の診療までの間でしょうか?私は、不安というものはどんなときにも起こりうると思うのです。では、その不安とは何から沸き起こるのでしょうか。それは、何をされるかわからない、今どうなっているのかわからないという情報の無さから来るのではないかと思います。
治療結果が良いものであったとしても、それに至る過程が良くなければ、患者さんの満足は決して得られないものだと私は思います。歯科医が勉強して、研究して、学会の活動をして患者のために技術を研鑽するのは当然です。仮にそれが発揮されてよい治療が出来たとしても、患者さんに全く説明もなく、患者さんとの意思疎通もない状態ならば、歯科医の独りよがりの治療に終わってしまいます。私は、治療結果については患者さんと一緒に喜びたいと思っています。せっかく頑張って治療したのに患者さんが不安な顔で帰っていく姿を私は見たくないのです。
患者さんの不安を解消するのはただひとつ、事前の説明をわかりやすくすることに尽きると思います。全ての治療には、理由があるのです。なぜ治療をするのか、その治療はどのようにするのかを説明することは重要です。しかし、ただ説明すると言っても専門用語を羅列したような説明ではいけないと思います。患者の気持ちも大切にしつつ同意を得なければ治療は出来ないからです。そのためには、最初の検査をしっかり行い、検査結果を踏まえて患者さんの口の中の現状をしっかりと伝えなければいけません。そのときは歯や歯ぐきの基本的な構造やレントゲンの見方など、これからの説明を理解していただけるように少し専門的な解説を加えることも重要と考えます。
患者さんと歯科医が一緒に治療を理解することが基本なのです。
私をはじめ、二期会の歯科医の中には「説明がくどい」と言われてる先生が多いのですが、それはご容赦願いたいことなのです。私の診療の理想は、「患者さんに笑顔で帰ってもらうこと」です。そのために日常心がけていることをまとめてみようと思います。
<患者さんが待合室で待っているとき>
なるべくお約束の時間通りに診療室の中へ入っていただけるように注意します。もしも、お待ちいただく場合には早めにその旨を伝えます。これは、待つことにより不安や恐れが増長し、さらには怒りに変わることを防ぐためです。待たされて何のお詫びもなく案内されて、平常心でいられるはずはありません。
<診療ユニットに座ったとき>
基本中の基本ではありますが、名前を呼び、挨拶はなるべくハッキリと言うようにします。そして、前回の治療のあとに違和感などがなかったか、他に気になるところがなかったかをお聞きます。気になるところがないなら、前回説明した今日の予定をもう一度説明し、確認します。もし、今回の治療が痛みのない治療であるならば、「今日は痛いことはないので心配しないでください。」と伝えるようにしています。この言葉を言った後の患者さんのホッとした表情を見ると、一番の恐怖は痛みなのだといつも実感します。
<診療中>
診療中しか見られないムシ歯の状態や、異常な状態はなるべく手鏡で確認してもらいます。こうすることで、これから行う処置と現在の状況との関連性を理解していただければ幸いです。さらには、悪い状態を確認してもらうことで、これから歯や歯ぐきを大切にする気持ちになっていただけるのではないでしょうか。
治療や処置には色々な段階があります。それを事前に伝えて「これから何をされるのか」を知っていただくことで不安をやわらげる事ができると思うのです。たとえば、虫歯を削ります、神経に近いところに詰め物をします、型採りをします、仮歯を合わせます、などです。
説明をしすぎることで、不安にさせる場合もあります。それは、手術中です。ただでさえ恐ろしい手術中に、いちいち実況されるともっと恐ろしくなると思います。手術中はうがいもできず、長い間横になっている患者さんが一番望んでいることは、きっと早く終わりたいということだと思います。ですから、手術などの時間のかかる処置では、始める前に所用時間の目処をお伝えし、処置中には時間に関する声かけを多くしています。また、処置の終わる目処がついてきたら、後どのくらいで終わるのかを早めに伝えるようにしています。人は不思議と「後~分ぐらいですよ。」といわれると辛抱できるからです。
<診療後>
今回行った治療の説明をいたします。このときは少し怖い言葉(切る、抜く、縫う、など)を用いて説明します。処置の前にこのような言葉を用いても、緊張のせいで理解できないことが多いからです。もう一度繰り返すことで処置の内容を確認し、忘れないようにしてもらえると思います。
それから、次回来院までに起こり得る症状(痛みの種類や違和感など)とその対処法などを説明します。これがかなり重要だと思います。帰宅した後、治したはずなのに痛みなどの症状が出た場合も、事前に説明があれば不安は軽減されるはずです。もし説明がなければ、これからどうなるのか、どうすればいいか、とても不安になり、怒りに変わることもあると思います。
最後に、次回に行う治療予定について説明します。痛みがない治療の場合は、「次回は痛みはない治療の予定なので、心配しないでいらしてください。」と伝えるようにしています。この言葉が、次回まで、また待合室でも不安なくすごせる言葉だと思うからです。逆に、麻酔(注射)を予定している場合は「次回は麻酔をしますので、そのおつもりでいらしてください。」と伝えるようにしています。これは、覚悟を決めて来てもらうためです。注射をするのかどうかとドキドキしながら来るのも、待合室で待つのも怖いものだと思います。予測できないことは、変な想像をも駆り立てるので、とても不安を大きくするのではないでしょうか。
治療が終わった後、患者さんに笑顔で帰っていただけるとうれしくなります。充分に説明することで、次の来院時に患者さんと笑顔で挨拶ができたなら、私はとても安心します。前回の診療のあと今日までの間、大きな不安なくすごせていたのだろうと思えるからです。すべての患者さんの不安を100%取り除くことはできないと思いますが、ただでさえ怖い、行きたくないと思われる歯科医院に少しでも安心して来ていただけるように、これからも精進していこうと思います。
▽総合的な治療が可能な歯科医院です
医療法人 二期会歯科クリニック / 矯正歯科 小児歯科 歯科口腔外科 審美歯科
札幌市中央区北3条西2丁目 NC北専北3条ビル8F TEL:011-251-222
~患者さんに安心して診療を受けていただくこと~あらためて考えると、これは難しいことです。
患者さんはどのような状況で不安を感じるのでしょうか?診療中でしょうか、診療を受ける直前に待合室で待っているときでしょうか、それとも次の診療までの間でしょうか?私は、不安というものはどんなときにも起こりうると思うのです。では、その不安とは何から沸き起こるのでしょうか。それは、何をされるかわからない、今どうなっているのかわからないという情報の無さから来るのではないかと思います。
治療結果が良いものであったとしても、それに至る過程が良くなければ、患者さんの満足は決して得られないものだと私は思います。歯科医が勉強して、研究して、学会の活動をして患者のために技術を研鑽するのは当然です。仮にそれが発揮されてよい治療が出来たとしても、患者さんに全く説明もなく、患者さんとの意思疎通もない状態ならば、歯科医の独りよがりの治療に終わってしまいます。私は、治療結果については患者さんと一緒に喜びたいと思っています。せっかく頑張って治療したのに患者さんが不安な顔で帰っていく姿を私は見たくないのです。
患者さんの不安を解消するのはただひとつ、事前の説明をわかりやすくすることに尽きると思います。全ての治療には、理由があるのです。なぜ治療をするのか、その治療はどのようにするのかを説明することは重要です。しかし、ただ説明すると言っても専門用語を羅列したような説明ではいけないと思います。患者の気持ちも大切にしつつ同意を得なければ治療は出来ないからです。そのためには、最初の検査をしっかり行い、検査結果を踏まえて患者さんの口の中の現状をしっかりと伝えなければいけません。そのときは歯や歯ぐきの基本的な構造やレントゲンの見方など、これからの説明を理解していただけるように少し専門的な解説を加えることも重要と考えます。
患者さんと歯科医が一緒に治療を理解することが基本なのです。
私をはじめ、二期会の歯科医の中には「説明がくどい」と言われてる先生が多いのですが、それはご容赦願いたいことなのです。私の診療の理想は、「患者さんに笑顔で帰ってもらうこと」です。そのために日常心がけていることをまとめてみようと思います。
<患者さんが待合室で待っているとき>
なるべくお約束の時間通りに診療室の中へ入っていただけるように注意します。もしも、お待ちいただく場合には早めにその旨を伝えます。これは、待つことにより不安や恐れが増長し、さらには怒りに変わることを防ぐためです。待たされて何のお詫びもなく案内されて、平常心でいられるはずはありません。
<診療ユニットに座ったとき>
基本中の基本ではありますが、名前を呼び、挨拶はなるべくハッキリと言うようにします。そして、前回の治療のあとに違和感などがなかったか、他に気になるところがなかったかをお聞きます。気になるところがないなら、前回説明した今日の予定をもう一度説明し、確認します。もし、今回の治療が痛みのない治療であるならば、「今日は痛いことはないので心配しないでください。」と伝えるようにしています。この言葉を言った後の患者さんのホッとした表情を見ると、一番の恐怖は痛みなのだといつも実感します。
<診療中>
診療中しか見られないムシ歯の状態や、異常な状態はなるべく手鏡で確認してもらいます。こうすることで、これから行う処置と現在の状況との関連性を理解していただければ幸いです。さらには、悪い状態を確認してもらうことで、これから歯や歯ぐきを大切にする気持ちになっていただけるのではないでしょうか。
治療や処置には色々な段階があります。それを事前に伝えて「これから何をされるのか」を知っていただくことで不安をやわらげる事ができると思うのです。たとえば、虫歯を削ります、神経に近いところに詰め物をします、型採りをします、仮歯を合わせます、などです。
説明をしすぎることで、不安にさせる場合もあります。それは、手術中です。ただでさえ恐ろしい手術中に、いちいち実況されるともっと恐ろしくなると思います。手術中はうがいもできず、長い間横になっている患者さんが一番望んでいることは、きっと早く終わりたいということだと思います。ですから、手術などの時間のかかる処置では、始める前に所用時間の目処をお伝えし、処置中には時間に関する声かけを多くしています。また、処置の終わる目処がついてきたら、後どのくらいで終わるのかを早めに伝えるようにしています。人は不思議と「後~分ぐらいですよ。」といわれると辛抱できるからです。
<診療後>
今回行った治療の説明をいたします。このときは少し怖い言葉(切る、抜く、縫う、など)を用いて説明します。処置の前にこのような言葉を用いても、緊張のせいで理解できないことが多いからです。もう一度繰り返すことで処置の内容を確認し、忘れないようにしてもらえると思います。
それから、次回来院までに起こり得る症状(痛みの種類や違和感など)とその対処法などを説明します。これがかなり重要だと思います。帰宅した後、治したはずなのに痛みなどの症状が出た場合も、事前に説明があれば不安は軽減されるはずです。もし説明がなければ、これからどうなるのか、どうすればいいか、とても不安になり、怒りに変わることもあると思います。
最後に、次回に行う治療予定について説明します。痛みがない治療の場合は、「次回は痛みはない治療の予定なので、心配しないでいらしてください。」と伝えるようにしています。この言葉が、次回まで、また待合室でも不安なくすごせる言葉だと思うからです。逆に、麻酔(注射)を予定している場合は「次回は麻酔をしますので、そのおつもりでいらしてください。」と伝えるようにしています。これは、覚悟を決めて来てもらうためです。注射をするのかどうかとドキドキしながら来るのも、待合室で待つのも怖いものだと思います。予測できないことは、変な想像をも駆り立てるので、とても不安を大きくするのではないでしょうか。
治療が終わった後、患者さんに笑顔で帰っていただけるとうれしくなります。充分に説明することで、次の来院時に患者さんと笑顔で挨拶ができたなら、私はとても安心します。前回の診療のあと今日までの間、大きな不安なくすごせていたのだろうと思えるからです。すべての患者さんの不安を100%取り除くことはできないと思いますが、ただでさえ怖い、行きたくないと思われる歯科医院に少しでも安心して来ていただけるように、これからも精進していこうと思います。
▽総合的な治療が可能な歯科医院です
医療法人 二期会歯科クリニック / 矯正歯科 小児歯科 歯科口腔外科 審美歯科
札幌市中央区北3条西2丁目 NC北専北3条ビル8F TEL:011-251-222
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by nikikai_sapporo
| 2010-03-18 07:42
| Dr.佐藤 禎