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歯科医師が綴るコラム集やお知らせなど【二期会歯科クリニック】札幌市中央区北3条西2丁目 NC北専北3条ビル8F/TEL:011-251-2220


by nikikai_sapporo
「輸入品の補綴物」

今回のコラムは初めて技工部(技工士:横田)が担当します。
皆さんはこのような新聞記事を記憶していますか?

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 差し歯や入れ歯などの補綴物は歯科技工士と呼ばれる職業の人たちが作っているのだと、皆さんは思っていませんでしたか? 実はぼくも思っていました。それら(補綴物)は歯科医師もしくは歯科技工士でなければ作ってはいけないことになっているのですが・・・それは我が国の法律であって、必ずしも海外では通用しないわけで、国によっては資格制度そのものが無かったりするのです。
 最近、そのような国から、様々な補綴物が輸入品として国内に供給されているようなのです。輸入補綴物が増えた要因のひとつは、国内で作るよりも、安価だということです。私たち技工士もそのような価格競争に巻き込まれ大変な思いをしていますが、歯科補綴物は一般の工業製品とは違い、安易に輸入に頼っていいものではないと思います。

 それでは、補綴物がなぜ安易に輸入に頼ってはいけないのでしょう?まず、そこでつくられた製品がどんな金属で作られたものなのか、チェックしにくいという点です。2008年2月米国で中国から輸入された補綴物の一部から210ppmの鉛が検出されたと報じられました。米疾病予防管理センターは「少量のため健康には影響ない」としましたが、口の中に常置される補綴物に鉛を使用する ということは考えられないことだと思います。
 次に問題となるのが、時間と精度です。歯科医師と技工士は、できるだけ精度が高く、各患者さんに最適の補綴物を作製するため努力していますが、日常臨床ではときおり模型などに狂いが生じ、補綴物のちょっとした手直しや作り直しが必要になることがあります。このような場合、海外発注の補綴物は模型の輸送だけでも相当な時間がかかりますし、時間がかかるゆえに精度が低く調整や修正が不十分な補綴物がそのまま装着されてしまう危険性があるのではないでしょうか。これでは患者さんの不利益になってしまいます。

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- 補綴物いろいろ -

 当院には私を含めて4名の技工士が常勤しています。国内で認可を受けた安全性の高い金属を使用し、各々患者さんに応じた補綴物を歯科医師と密に連絡を取り合い、相談しながら作製しています。
 補綴物の手直しや作り直しが必要な場合も、できるだけ迅速に対応しています。このような点が、私たち技工士が院内に常勤する大きなメリットであると考えています。これからも私たちは、安心安全な精度の高い補綴物を作っていきたいと思います。


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# by nikikai_sapporo | 2009-11-07 07:37 | 技工士:横田
「故事に心打たれる」

今回は、大西が担当します。

最近、映画『レッドクリフ』partⅠ&Ⅱが上映され、映画としての内容はさておき、三国志が好きな方に とって興味津々だったことと思います。私も学生時代から中国の歴史が好きで、特に殷周時代 から三国時代の伝記をよく読んでいましたので、思わずこの映画を見てしまった一人です。

「三国志」(著者:陳寿)は後漢末の動乱期に、様々な志を持った群雄の興亡史として有名です。映画『レッドクリフ』partⅠ&Ⅱはその時代に起こった「赤壁の戦い」を描いたものです。「三国志」の中では「赤壁の戦い」等、様々な名場面がありますが、その中でも、特に「天下三分の計」を諸葛亮(しょかつりょう、後の蜀漢の丞相)が劉備(りゅうび、後の蜀漢初代皇帝)に授けるところは、私が心うたれた場面でした。この出来事を転換期に領土を持てなかった劉備が蜀漢帝国を築いていくわけです。

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【三国時代の勢力図】


さて、そんな有名な「天下三分の計」。この計略を劉備より条件が良かったにも関わらず、採用しなかった人物がいます。それは漢帝国を建国した高祖・劉邦(りゅうほう)に仕えた名将、韓信(かんしん)です。
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【 韓信像】


彼の生涯の中に私が心うたれた故事がありますので、今回、これについて紹介したいと思います。

韓信は紀元前200年以上昔(三国時代より400年以上昔)の人です。若い頃は貧しい身分でしたが、項羽から天下を奪取するために立ち上がった漢王・劉邦に大抜擢され大将軍となります。
韓信は劉邦の期待に応え、その知謀と戦術をもって魏・代・趙・燕・斉の諸国を悉く平らげ、楚(項羽勢)、漢(劉邦勢)をも凌ぐ勢力になっていきました。その韓信に、「天下三分の計」を提案する人物がいます。韓信の説客の蒯通です。
「今、独立しなくては将来、身に危険が及ぶでしょう。」という蒯通の熱心な説得にもかかわらず、韓信は劉邦への恩を忘れることができずにこの提案を退け、劉邦の天下統一を助けますが、統一後、劉邦の功臣粛正の嵐に巻き込まれ、謀反の廉で非業の最期を遂げます。

彼は生前、主君・劉邦と項羽の違いを劉邦に語ります。
韓信「漢王(劉邦のこと)は項王と比べて、勇猛さ、果敢さ、情の深さの点でどちらが上ですか?劉邦「わしはすべてにおいて項王に及ばぬ…」韓信「臣もそう思います。では、項王の人柄を申しましょう。
臣は以前項王に仕えていたことがございますので、彼の人柄を知っております。
項王が激しく怒鳴りつけますと、皆恐怖に駆られ千人の勇者もひれ伏します。ところが、彼は優秀な将軍を抱えているのに、彼らに仕事を任せきることができません。それは『匹夫の勇』と言えましょう。
また、項王は人と会うとき、礼儀正しくて思いやりがあり、言葉遣いは穏やかです。人が病気に罹りますと、涙を流して見舞い、自分の食事を分けてやります。ところが人が手柄を立てて、いざ爵位を授ける時になると途端にケチになり、印の角が磨り減るまで手の上でおもちゃにし、結局授けません。あれは『婦人の仁』と言えましょう。」

このように韓信は的確に項羽を分析し、その弱点をついていきます。「国士無双」とまで言われ、百万もの大軍を自在に指揮した韓信の戦術は、「背水の陣」にも見られるように孫子の兵法を熟知した正しく神算鬼謀でした。天下を三分するまでの勢力を作り上げたのは必然だったのかもしれません。
しかし、韓信は以前、項羽に対して『婦人の仁』と酷評したにも関わらず、自分自身の『婦人の仁』を認識できませんでした。そのために非業の死を遂げたのも必然だったのかもしれません。

私は自分の『匹夫の勇』『婦人の仁』をなくさなければいけないのと同時に、『人の振り見て我が振り直せ』という故事が脳裏をよぎりました。これほどの賢者が人の弱点は見抜けても自分自身の欠点に関しては見抜けなかった。

「史記」の著者:司馬遷は韓信に対して「もし、韓信が道理を学び、謙虚で自分の功績を誇らず、自らの才能に奢らなければ、ほとんど理想的な人であったと言える。」と評しています。
『人の振り』を見切れても、自分の無意味な奢りやプライドが『我が振り』を直せなくしている。謙虚であることが自分を客観視できる一歩であることを学びました。

それにしても韓信が蒯通の説いた「天下三分の計」を採用していたなら…、いったい、歴史はどう変わったのか?歴史にif…、は無意味ですが、想像すると(妄想すると)漢王朝が存在せず、「漢字」ではない文字を私たちは使っているのかな?なんて思ったり、それ以降の歴史も変わって、もしかすると映画『レッドクリフ』は全く別の様相の映画になって楽しめたかもしれませんね。

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# by nikikai_sapporo | 2009-10-04 18:57 | Dr.大西 康友
日常臨床のひとコマ パート2 ~「抜く」は悪いこと?~

 「前の歯医者では何も言わないで何本も抜かれたんですよ・・・」

 「歯を抜く」というとやはりイメージは良くありませんね。誰でも抵抗がある と思います。できれば抜かずに済めばいいと思いますよね。強い痛みがあった り、抜けそうな位にぐらぐらしていて噛めなければ、患者さん自身も抜かなきゃだめかなと、うすうす感じることと思います。でも、時には自分では抜かれると思っていないのに、歯医者さんに抜かないといけない(抜いたほうがいい)といわれることもあると思います。そんな時は何とか歯を抜かないで治療できないか、と思われるでしょう。

 さてこの「治療できる」という基準はどこにあるのでしょうか?
「歯を抜かないで治療する=抜かないで歯(冠やブリッジ)が入る。」と考えられている方も多いのではないでしょうか?少し乱暴な言い方かもしれませんが、状態の悪い歯でも歯を入れるだけなら、型さえとれればほとんどどんなところにでも入れられると思います。そうすれば、患者さんにも「抜かないで歯を入れてくれた。」と喜ばれるかもしれません。

 しかし、私たちは歯を入れるということだけを目標に治療をしているわけではありません。ただ単に歯を入れただけでは治療とはいえないのです。治療を始めるときは歯を入れることでその歯がどれぐらい使っていけるのか、抜かないで治療をしたとき口全体としてどれほどのメリット・デメリットがあるのかを考えます。歯を抜かないでそのときだけ喜ばれても、半年や1年で取れてしまったり、痛くなったりするような歯を入れて治療といえるでしょうか?その歯がうまく機能しない間は、他の場所で噛むことになります。そうすれば他の歯が負担過重になり、悪くなってしまうかもしれません。無理に抜かないで残すことで、その歯の炎症が隣接する歯に波及してしまうかもしれません。抜くべき時期に歯を抜かなかったために、抜かないでいい歯まで抜かなくてはならなくなることも多々あります。さらに近年、歯周病菌と全身の疾患との関連性も明らかになっていて、歯周病で状態の悪い歯を残しておくことで全身に悪影響を及ぼす可能性もあるといわれています。

 「抜かない治療=いい治療」なのでしょうか?

 もちろん治療をして長く使っていける可能性が少しでもあればあらゆる手を尽くして治療をしますが、私たちから見て、明らかに治療が不可能である場合、今痛みなどの症状がなくても、明らかにその歯があることが口全体としてマイナスになるだろうという場合も多くあります。今の時代何十年も前のように「抜いたほうが早いから抜いちゃおう」なんて考えている先生はまずいないと思います。再生療法という、歯周病でなくなった骨を僅かながら回復する治療法も出てきていて、どこの歯医者さんも一生懸命歯を残す努力をされていると思います。このように何とか歯を残して治療をするということも、もちろん歯医者さんの大切な能力ですが、適切な時期に「抜く」判断をすることも、歯医者さんの能力のひとつだと思います。

 冒頭のような表現をされるのは(もちろん本当に何も言われなかったわけではなく)、どうしてその歯を抜かなければならないのかを十分に理解、納得しないまま抜歯をするに至ったからではないでしょうか。なので、もし自分の考えと歯医者さんの考えが食い違ったときは、抜くか抜かないかだけで判断せずよく話し合ってください。どうしてもその歯医者さんの話に納得できないときは、他の歯医者さんの話を聞いてみるのもいいと思います。歯医者さんはたくさんいますから、そういうことも患者さんが思われるほど、先生は気にしないと思いますよ。

 どんな治療をするにしても抜くか抜かないかだけではなく、その歯を抜かないでおくこと、或いは抜いてしまうことで生じる利点や欠点、それぞれによる治療期間の違いなどを患者さんと先生がよく話し合い、お互い納得したうえで行うのが「いい治療」なのではないでしょうか?

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# by nikikai_sapporo | 2009-09-01 23:00 | Dr.木下 篤
『サイモン&ガーファンクル』

 先日、サイモンとガーファンクルの札幌ドームコンサートに行ってきた。
実は前日まで行くかどうか悩んでいた。5歳上の姉の影響で小中学生の時に曲のほとんどを聴き傾倒していた。
しかしながら私の中ではすでにBGMのようになってしまった感があり、今さらという気持ちでコンサートに行くのをためらっていたのだ。
当日になり「こんな近くに来ているのに・・」と居ても立ってもいられなくなり、当日券を買いにドームに向かった。

 いよいよ入場となり会場の熱気に驚いた。一番多い年齢層はやはり団塊の世代か。
映画の『卒業』をリアルタイムで見ていた方々なのだろう。
そしていよいよサイモン&ガーファンクルがステージに。
曲が始まり3曲目で涙がでてきた。
夢のような時があっという間に過ぎ『明日に架ける橋』が今まさに目の前で奏でられている。

コラム・8月号(第22回)/Dr.林 聡氏[ 二期会歯科クリニック・札幌市 ]_c0130091_959228.jpg

 ポールサイモンは近況を知っていたので安心していたが、アートガーファンクルははっきりいって不安だった。
だが日本公演最終日だというのによくあれだけ熱唱してくれた。
行ってよかった。

 BGMを悪いもののように書いてしまいましたが、BGMにはまた違う役割をがあると思っています。
歯科医院では歯の切削機材の音を和らげリラックスしてもらうようにBGMは必須であります。
当院のBGMでもみなさんのお気に入りだった曲がインストメンタルで流れることがあると思います。

でもそれに聴き入る余裕はありませんよね。

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# by nikikai_sapporo | 2009-07-28 09:59 | Dr.林 聡氏
「矯正治療・いまむかし」

 今回は矯正歯科・正木の担当で掲載いたします。

 去る6月21日の日曜日、私どもが所属しております北海道矯正歯科学会(http://www.hos.gr.jp)の50周年記念大会が北海道歯科医師会館で行われ、参加して参りました。

 この学会が創立された1959年に比べますと、現在は矯正治療技術、使用される材料は当時とは比べようもなく進歩し、子供から成人まで幅広い年齢層の患者さんが治療を受けておられます。

 戦後十数年ほどが経過したこの創立当時、歯科医は専ら虫歯治療や抜歯、入れ歯の治療に没頭せざるを得ず、歯並び、咬み合わせに問題を見つけたとしても治療できる歯科医は極僅か、殆どは放置されていたように思われます。

 小学校の検診では今のように歯並び・咬み合わせをチェックされることもありませんでした。時代が少し下りますが60年代前半の高校生時代、隣のクラスに、笑うと口の中にぎらぎらと光って見える金属の金具(全帯冠装置)を入れている男子生徒がおりました。

 何でそういうものを付けているのかが不思議で「きっとどこかが悪いのだろうな」と思っていました。そんな程度の認識で、それが歯を動かす矯正歯科治療とは全く知らなかったのです。全校生徒約1500人の中で矯正装置を入れていたのは彼一人だけだったと思います。

 学園紛争が落ち着きを取り戻しつつあった70年代の大学4年生頃に、矯正歯科学の講義の中であの全帯冠装置を見て、「ああ、そうだっ!彼がやっていたのはこれなんだ」と妙に納得、感心したのを覚えています。

コラム・7月号(第21回)/Dr.正木 史洋[ 二期会歯科クリニック・札幌市 ]_c0130091_12192385.jpg

 1971年、矯正治療システムに革新的変化が起こりました。1871年の金属製バンド(帯冠)の発明以来、ブラケット(ワイヤーを固定する金具)はバンドに溶接しそれを歯科用セメントで歯に固定していました。患者さんにとってこのバンドを歯に合わせる処置が苦痛で時間も大変かかる術者泣かせの作業でした。

 これに代わりブラケットを直接歯の表面に接着しバンドが不要となる技術 (ダイレクトボンディング法)が東京医科歯科大学の三浦不二夫教授(当時)のグループにより開発されたのです。

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 以降その接着材は天然歯牙に限らず金属にも接着できるようになり、世界中の矯正歯科医はその恩恵を享受しています。また歯を並べる際に用いる金属ワイヤーはステンレスが主流でありましたが、80年代に入ると、チタン・ニッケル合金による超弾性ワイヤーの出現により、治療初期より非常に弱い力を持続的に歯に加えることができるようになり、患者さんにとってより快適性が増しました。

 更にブラケットの材質もプラスティック、セラミックと多様化し、治療中にも審美性も求める患者さんに対応できるようになってきました。

 このように矯正治療に用いる材料や治療方法は日々進化し続けてはいますが、術者の洞察力やたゆまない技量の向上が不可欠な事は言うまでもありません。

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# by nikikai_sapporo | 2009-06-29 12:20 | Dr.正木 史洋