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歯科医師が綴るコラム集やお知らせなど【二期会歯科クリニック】札幌市中央区北3条西2丁目 NC北専北3条ビル8F/TEL:011-251-2220


by nikikai_sapporo

コラム・5月号(第175回)/ Dr.池田高明【二期会歯科クリニック・札幌市中央区】

「根面う蝕」

【はじめに】
 現在、う蝕(虫歯)は、若年では減少傾向にありますが、65歳以上では増加傾向にあります。80歳台では70%の有病率です。
 これは20歯以上の歯を保有している高齢者の割合が増加していることとも関連しています。

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その中で、「根面う蝕」の増加が特に問題になっています。

【根面う蝕についてとその原因】
「根面う蝕」とは、歯冠部のう蝕と比較し、歯頚部に沿って輪状に歯肉の下まで進行し、進行スピードも早いう蝕になります。

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  そもそも「う蝕」とは脱灰と再石灰化のダイナミックな挙動を示す、多くの因子が関係した疾患です。

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 図に示した因子に加え、「根面う蝕」では更に多くの関連因子が存在しています。
  その一つに、「歯肉退縮」があります。根面う蝕の罹患部位の90%が現在、歯周病に罹患している、または既往歴があるといわれています。
 また「酸蝕症」で根面が脱灰することが原因になることもあります。
(※酸蝕症:細菌が関与しないで歯が脱灰する症状。酸度の高い食品の摂取や、摂食障害などが原因となる。)

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  他にも高齢者の場合は、「プラークコントロールの低下」や「唾液量の低下」も大きなリスクになります。服薬による副作用として、唾液量が減少すると根面う蝕が多発することがあります。(降圧剤や神経系などの薬は自律神経系に作用し、唾液が出にくくなる副作用があるものが多いです。)

【根面う蝕の予防と処置】
  ブラッシングが原因で歯肉退縮を招いている可能性が疑われる場合、使用されているブラシタイプを確認のうえ、適切なブラッシング方法の指導をおこないます。
 根面う蝕の予防と進行抑制のためのホームケアとしては、「フッ化物配合歯磨剤」に「フッ化物配合洗口液」を毎日併用することが非常に有効です。これにより、高頻度にう蝕は活動性の状態から非活動性の状態にすることが可能です。
 個人的には担当の患者さんには「チェックアップルートケア」という商品をお勧めさせて頂いております。

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 フッ化物のう蝕予防のメカニズムは、歯の脱灰抑制、再石灰化の促進、プラーク細菌代謝の抑制などになります。
 因みに、フッ化物製剤に配合されているフッ素イオン濃度は、歯磨剤で約1500ppm、ジェルで約9000ppmです。
  またう蝕の進行抑制には、「サホライド(フッ化ジアミン銀)」という薬物が有効です。今から約50年前に日本で誕生した薬剤ですが、米国でも近年、高い有効性が注目されています。フッ化物濃度はなんと約55000ppmです。
 私自身、積極的な治療が困難な方に対してう蝕の進行抑制のために用いることがありますが、とても有効であると実感しています。ただこの薬剤は、塗布部位の歯質が黒変するのが欠点になります。
 こうした点に対して黒変せず、サホライドに代わる薬剤(フッ化ジアミンシリケート)の研究がされています。しかし、実際まだ臨床応用されるまでには時間がかかりそうです。

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  根面う蝕の切削を伴う治療の際は、「レジン」を詰める処置で対応しております。
 さらには、充填操作をする際、しっかりとお口の中の乾燥を保つことが困難な場合には、「グラスアイオノマーセメント」(フッ素を放出してくれる性質があるセメント)を充填材料として選択させて頂く場合も稀にあります。
  根面う蝕は繰り返しになりますが、進行が早く場合によっては、根管治療(根の中の治療)が必要になってしまうこともあります。
  定期検診を受診していただくことで、仮に根面う蝕に罹患した場合も侵襲の低い治療法で対応できることがほとんどです。検診では、う蝕の有無だけでなく、歯肉の状態、口腔乾燥状態、服薬状況、ブラッシング状況など様々な点を過去の状態と比較しつつ確認しております。
 根面う蝕に関してだけでなく、お口の中のお悩み、疑問がございましたら、診療時になんなりとご質問いただければと思っておりますので、よろしくお願い致します。


▽総合的な治療が可能な歯科医院です
医療法人 二期会歯科クリニック / 矯正歯科 小児歯科 歯科口腔外科 審美歯科
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公式ウエブサイトURL http://www.nikikai.com/



by nikikai_sapporo | 2022-05-03 08:14 | Dr.池田高明