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歯科医師が綴るコラム集やお知らせなど【二期会歯科クリニック】札幌市中央区北3条西2丁目 NC北専北3条ビル8F/TEL:011-251-2220


by nikikai_sapporo

コラム・9月号(第155回)/ Dr.門脇 繁【二期会歯科クリニック・札幌市中央区】

「コロナの時代の映画ライフ」

 スケジュール帳を開く。

 私は、どうしてもスケジュールはボールペンや鉛筆で手帳に記入したい「アナログな人間」である。今年2020年の2月中旬以降のページは、×印が花盛りだ。中には「×→延期→中止」「×→来年」「×→○月○日までに払い戻し」などという記載もある。仕事関係で言えば、会議や勉強会は軒並み中止、学会はWEB開催のため予約していた航空券や宿泊はキャンセル・・・・×××・・・。プライベートでは、映画は映画館休館・公開延期、演劇・落語会・コンサート・バレエ等々は延期、中止・・・・×××・・・。

 まさにコロナの時代だ。

 ここで改めて気づくのは・・・私の人生は「三密」であった・・「三密」でない空間に私の居場所はなかった・・ということである。

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 新型コロナ感染症は、世界を、世の中のルールを、変えてしまった。「アフターコロナの世界では新しい生活様式に沿って生きていきましょう!」と権威のあるお方が「すんなりと」言っている。「はい、そうですね。そうしましょう。」と、すんなりと受け入れられるものと、受け入れられないものがある。演劇、演芸、コンサート、舞踏等々・・は今後、様々な抵抗や葛藤があって、工夫や転換を経て、新しいスタイルを模索していくことになるのだろうと思う。単にWEB配信でやれば良いことではない。それは一時しのぎに過ぎない。これらの文化は「生もの」として存在してきたのだから。
 では、映画はどうか?これはちょっと微妙である。確かに映画は「生もの」ではない。今はネット配信という強力なツールが存在している。だからそれなりの視聴環境が整うのであれば、映画は映画館で観なくても良いんじゃないの?という意見も出てくる。実際、私もステイホームの期間中、映画館には行けなかった(行かなかった)。4ヶ月以上も映画館に行かなかったのは小学生の頃以来である。その間、当然のことながら自宅のテレビで映画を見続けていたわけである。まあ、いつかは観たいと思って録画してある映画が五万とあるし、映画館休館のご時世を受けて早期ネット配信する封切り映画もあるし、NetFlixなどの素晴らしいオリジナル映画も数多あるのである。2020年2月下旬から6月下旬の4ヶ月の間、録画してあった映画を観たのが21本、ネット配信で観たのが19本、計40本の映画を観た。新作映画を映画館で観ることはできないけれど、それなりに充実した映画ライフを送ることができたと思っている。

 映画館で観る映画を選択する基準は、もちろん観たいものを観るわけだが、上映日程や上映時間と自分の休日や体調の関係が重要基準となる。観たくてもスケジュールが合わなければ、指をくわえて逃すこともしばしばである。自宅のテレビで映画を観る場合、映画の選択基準は何か?気分で決めれば良いじゃん?で、どれにする?実は決めるまでが結構大変。じゃ、テーマを決めようと思い立つ。
1)NetFlixのオリジナル映画(評判の高い作品)
2)今年劇場公開となって早期にネット配信になった新作(劇場で観たいと思っていた作品)
3)有名監督の処女作品(長編デビュー作)で見逃していた作品
4)なんとなく観るのは今じゃないだろうなどと理屈をつけて泳がせていた名作の誉れ高い作品
5)その他、ここ数年に映画館で見逃した作品   
・・と、こんな感じでテーマを決めて映画を観たステイホームだった。例えばこんな作品・・・

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「2人のローマ教皇」フェルナンド・メイレレス監督作品(2019年)

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ここ数年、NetFlixは高品質で作家性の高い秀作をどんどん送り出しているが、私の最高のお気に入りはこの作品である。ジョナサン・プライス演じるホルヘ・マリオ・ベルゴリオ枢機卿(現教皇:アルゼンチン人)とアンソニー・ホプキンス演じる教皇ベネディクト16世(現名誉教皇:ドイツ人)の心撃つ会話劇である。時は2012年。史実に基づいた内容ではあるが、完全にフィクションだからこそよりドラマティックに、コメディ風に、音楽的自由に満ちた(アバやビートルズ)作品になった。ベルゴリオが自ら電話で航空チケットを予約しようとするファーストシーンから、(これもフィックションだそうだが)2014年サッカーワールドカップ決勝戦アルゼンチン対ドイツを二人でテレビ観戦するラストシーンまで、笑いが絶えない。二人の教皇の背景や生き様がぶつかり合い、互いの目論みが絡み合い、「告解」しあい「赦し」あう、その課程で笑いながらも涙が止まらないのである。

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「ほえる犬は噛まない」ポン・ジュノ監督作品(2000年)

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今年の米アカデミー賞を「パラサイト〜半地下の家族」で席巻したポン・ジュノ監督の長編デビュー作をやっと観た。やっぱり凄い奴はデビューから凄かった。イヌに対する残虐シーンがあるかと思うと、声を上げて笑ってしまうひねりの数々がある。韓国の社会的問題(日本の問題ともかなり被るが)〜犬食文化、賄賂、電車内の物乞、妊娠即退職、文系即悲哀etc・・がちりばめられているが、それを軽く「つーーーっ」と通り抜けながら、『まあ、仕方ねぇな』という境地に至らしむる映画である。切り干し大根、ボイラー・キム、トイレットペーパー、サイドミラー・・・小ネタアイテムによる伏線回収のタイミングが素晴らしい。例えるならば、打ち上げ花火の火の粉が忘れた頃にうなじあたりに落ちてくる感覚だ。そうそう、音楽が全編JAZZ!!!これもまた良い!

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「鉄道員(ぽっぽや)」降旗康男監督作品(1999年)

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2014年に高倉健さんが亡くなり、2019年に降旗監督も鬼籍に入る。それでもなんだか、まだ観るタイミングじゃない気がして、泳がせていた。そしてもう一人の「けんさん」(志村けん)が新型コロナ感染症で亡くなった今、観るべき時が来たと思い、ついに観た作品。聞きしに勝る大泣き映画である。内容的には「ベタ」のオンパレードなのだが、私=昭和の男は涙腺緩みっぱなし。健さんの死んだ娘として広末涼子が出てきた途端、ついに涙腺ダム決壊。もうティッシュ一箱全部使うかと思った。


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「モリのいる場所」沖田 修一監督作品(2018年)

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一昨年、劇場で見逃していた作品。いっぱいトリックがある映画。この時間の流れは到底「一日の出来事」とは思えない。主人公の家には「学校」という名のアトリエがある。ここんちの庭はどこかの山奥・秘境に感じてしまう。そう宇宙に繋がる池があるのだから。いつの時代の話だか、最初はよく解らない。ずっと昔のようでいて、昨日のことでもおかしくはない。ジュリーの「危険な二人」、ドリフの金だらいギャグ、「桃屋CM」の三木のり平、ああ、あの時代なんだと気づかされる。山崎努と樹木希林の掛け合い、国宝級!!カレーうどんにソーセージ潰し!なんだかとっても良い時間を過ごせる映画であった。


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 2020年6月末に恐る恐る映画館に行ってみた。チケット販売は座席総数の半分まで、一席おきに座る形式、換気も充分に行われているし、観る側もマスク着用。人混みにならないタイミングを見計らってのこうした映画鑑賞は決して「三密」にはなっていない。4ヶ月ぶりに映画館のシートに身を沈めながら、私は改めて感じ入る。

私は「映画を観ること」がもちろん大好きだが、「映画館で映画を観ること」がとてつもなく好きなんだということを。

 つい8ヶ月前には当たり前だった世界が今はもう懐かしく感じられる。これから半年後、一年後、数年後は何が当たり前の世界になっているんだい?「あの日にかえりたい」と思いつつ、「泣きながらちぎった写真を手のひらで繋げて」みても仕方のないことである。だけど文化の「新しい様式」にすんなりと馴染むことができずに、もがき苦しむことがその文化への「愛」の証なのだと思うのだ。ええっ?それは単なる執着ですよって?ふざけるんじゃねー、愛だろ、愛!


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by nikikai_sapporo | 2020-08-31 12:46 | Dr.門脇 繁