コラム・7月号(第153回)/ Dr.森本 光一【二期会歯科クリニック・札幌市中央区】
2020年 07月 07日
「史上最高のピッチャーは誰か」
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無観客ながらプロ野球と女子プロゴルフが再開され少しずつ日常が戻りつつある今日この頃ですが、コロナ対策は気を緩めることなく頑張りましょう。
さて、今回のお題は再開したプロ野球から「史上最高のピッチャーは誰か」です。
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日本プロ野球界では、通算勝利数では400勝をあげた金田正一が筆頭ですが、
個人的にはメジャーでも活躍した野茂英雄、怪童と呼ばれた尾崎行雄、怪物江川卓、小さな速球王山口高志なども外せないところです。
<左から、野茂、尾崎、江川、山口>
しかしここは日本のプロ野球黎明期に活躍した伝説の投手、沢村栄治(1917~1944)が「史上最高のピッチャー」ではないかとおもいます。
1934年の日米野球における8回5安打1失点の快投が伝説となり、その後始まった日本プロ野球において史上初のノーヒットノーランを1936年に達成、その後1937年、1940年にも
ノーヒットノーランを達成しました。
右脚を高く上げる豪快な投球フォームから繰り出される豪速球で1937年には24勝・防御率0.81の成績を残して、プロ野球史上初となるMVPに選出されました。
残念ながらその後戦争に突入して手榴弾の多投から肩を壊し、あまり目立った成績を残すことなく1944年に戦死してしまいました。
プロ野球通算63勝22敗、防御率1.74の成績でしたが、戦死後の1947年7月9日、巨人は沢村の功績をたたえて背番号14を日本プロ野球史上初の永久欠番に指定しました。
また、同年に沢村の功績と栄誉を称えて「沢村賞」が設立され、プロ野球のその年度の最優秀投手に贈られることとなりました。
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アメリカ・メジャーリーグを見てみると、通算勝利数では通算勝利数では511勝をあげたサイ・ヤング*7が417勝のウオルター・ジョンソン*8を大きく引き離しており、1956年からその年に最も活躍した投手に贈られる「サイ・ヤング賞」が選定されました。
<左:サイ・ヤング、右:ウオルター・ジョンソン>
そのサイ・ヤング賞を7回も受賞したロジャー・クレメンスや4年連続で受賞したランディ・ジョンソン、火の玉投手ボブ・フェラー、シーズン最多奪三振記録・通算最多奪三振記録保持者のノーラン・ライアンなどすごい選手が数多く存在します。
<左上:クレメンス、左下:ジョンソン、右上:フェラー、右下:ライアン>
しかし、時速160キロ以上の速球を投げていたといわれる速球王・ボブ・フェラーに「彼の投げるボールがファスト・ボール(速球)なら、俺の投げるボールはチェンジ・アップだよ」と言わしめた「サチュエル・ペイジ」(1906~1982)こそが「史上最高のピッチャー」ではないかと思います。
サチュエル・ペイジのメジャー通算成績は28勝31敗、防御率3.29ですが、メジャーデビューが1948年でそのときの年齢はなんと42歳でした。
それまでペイジは当時アメリカに存在した「ニグロリーグ」でプレイしており、そこでの成績は公式記録ではないものの約2500試合に登板、2000勝以上をあげ、うち完封勝利は350以上、ノーヒットノーラン55試合など、にわかには信じがたい成績が伝えられています。
この成績は中南米のチームとの交流戦の結果も含まれているのではと言われておりますが、
メジャーリーグとの交流戦の成績からも決してニグロリーグのレベルが低かったわけではないようです。
170km/hを超えていたといわれる速球と上手、横手、下手どこからでも投げ分けることが出来、投球練習の際、ホームベース上に置いた煙草の箱の上をボールが通過するほどコントロールに優れていたといいます。
1930年には、メジャーリーグ選抜との交流戦で22奪三振完封勝利を記録しており、記録がはっきり残っている1934年には105試合に投げて104勝をあげています。
1942年にはどこのチームでも投げられるように「独立選手」となり、PAIGEとだけ書かれたユニホームを着てプレイしたそうです。
そのほかにも9回裏にわざと走者をためて無死満塁とし、しかも野手をベンチに引き上げさせたり、マウンド横に座らせた状態で打者と勝負して三振でゲームセットにするなんていうパフォーマンスもしていたそうです。
なんとも信じがたい話ですが、対戦したメジャーリーグの選手や野球関係者の数多くの証言から決して嘘ではないようです。
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もし太平洋戦争がなかったら、沢村投手はどんなピッチングを見せてくれたのか、
もし人種差別がなく、もっと早くからメジャーリーグでペイジがプレイしていたらどんな大記録を打ち立てたのか、興味が尽きないところであります。
さて、メジャーリーグもいよいよ今月末から開幕することが決まりました。
エンゼルスの大谷投手をはじめ、日本選手の活躍が楽しみです。
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by nikikai_sapporo
| 2020-07-07 07:53
| Dr.森本 光一