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歯科医師が綴るコラム集やお知らせなど【二期会歯科クリニック】札幌市中央区北3条西2丁目 NC北専北3条ビル8F/TEL:011-251-2220


by nikikai_sapporo

コラム・10月号(第60回)/Dr. 大西康友 【二期会歯科クリニック・札幌市中央区】

矯正歯科治療と健康保険について

 患者さんから矯正歯科治療に関する相談を受ける際、「どうして、矯正歯科治療は健康保険が利かないのでしょうか?」という質問を受ける事があります。きっと、多くの方は矯正歯科治療が完全に健康保険の適応ではないと思われているのではないでしょうか?今回は矯正歯科治療の中で健康保険が適応となる対象と適応外となる対象、そして、その理由について呟きたいと思います。

 矯正歯科治療=「保険が利かない治療」つまり、治療費全額自己負担で高額というイメージの方も多いと思いますが、厚生労働大臣が認めた特定の疾患に限り、健康保険が適用されます。

 では、その疾患とは何かといいますと、第一に顎骨の形態や大きさが原因で、咬み合わせに問題が生じる顎変形症[がくへんけいしょう](当ホームページに記載していますので、ご覧ください。) 、第二に厚生労働大臣の認めた疾患に起因した不正咬合 (咬み合わせの異常) に対する矯正歯科治療です。特に厚生労働大臣の認めた疾患の種類は平成14年4月から徐々に増えており、現在は下記のように42種類の疾患が保険適応となっています。

  • 唇顎口蓋裂
  • ゴールデンハー(Goldenhar)症候群(鰓弓異常症を含む。)
  • 鎖骨・頭蓋骨異形成
  • クルーゾン(Crouzon)症候群
  • トリチャーコリンズ(Treacher-Collins)症候群
  • ピエールロバン(Pierre Robin)症候群
  • ダウン(Down)症候群
  • ラッセルシルバー(Russell-Silver)症候群
  • ターナー(Turner)症候群
  • ベックウィズ・ヴィードマン(Beckwith-Wiedemann)症候群
  • 尖頭合指症
  • ロンベルグ症候群
  • 先天性ミオパチー
  • 顔面半側肥大症
  • エリス・ヴァン・クレベルド症候群
  • 軟骨形成不全症
  • 外胚葉異形成症
  • 神経線維腫症
  • 基底細胞母班症候群
  • ヌーナン症候群
  • マルファン症候群
  • プラダーウィリー症候群
  • 顔面裂
  • 筋ジストロフィー
  • 大理石骨病
  • 色素失調症
  • 口-顔-指症候群
  • メービウス症候群
  • カブキ症候群
  • クリッペル・トレノーネイ・ウェーバー症候群
  • ウィリアムズ症候群
  • ビンダー症候群
  • スティックラー症候群
  • 小舌症
  • 頭蓋骨癒合症
  • 骨形成不全症
  • 口笛顔貌症候群
  • ルビンスタイン-ティビ症候群
  • 常染色体欠失症候群
  • ラーセン症候群
  • 濃化異骨症
  • 6歯以上の非症候性部分性無歯症

 上記の様々な疾患に共通しているのは、疾患によって原因は異なりますが、顎顔面領域における形態的な変形(特に上顎骨の癒合不全)や通常とは異なる成長発育を示すことです。そのため、歯槽骨(歯を支える骨)と歯、更には上下顎骨、それぞれの形態や大きさが調和せず、叢生(ガタガタした歯並び)、反対咬合や上顎前突といった不正咬合を引き起こし易く、矯正歯科治療が必要になることが多いのです。
 現在、このように多くの疾患に対する矯正歯科治療が保険適応になったことは、大変喜ばしいことであり、当院でもこうした疾患の患者さんが増加しております。
 上記の疾患に罹られていて、歯並び、咬み合わせに対してお悩みの方がおられましたら、一度、当院矯正歯科を受診してください。

[ただし、保険での矯正歯科治療は厚生労働省による歯科矯正診断を行う施設基準の届け出医療機関に限られ、更に自立支援医療による補助は指定自立支援医療機関においてのみ可能です。また、顎変形症に関する手術前後の矯正治療は厚生労働省による顎口腔機能診断を行う施設基準の届け出医療機関に限られ、当院はいずれも対象医療機関となっております。]

 次に、どうして上記の疾患以外の矯正歯科治療は健康保険が利かないのでしょうか?
 日本の医療制度は元々、疾患に対する治療中心で、基本的に予防に関しては保険が適用されません。(インフルエンザワクチン接種や人間ドックなどは保険適応外、歯科ではかなり限定された条件をクリアしなければ虫歯予防のフッ素塗布は保険適応外です。)ただ、予防の中でも直接的原因と間接的原因とに分けることができ、日本の医療は直接的原因(細菌やウイルスなど)に対する予防は一部健康保険が適用されますが、間接的原因(不正咬合、飲酒、食生活など)に対する予防は保険が適用されません。
 それでも今年の4月からは、6歯以上の非症候性部分性無歯症、つまり全身的疾患の有無に関わらず、先天的に6本以上の歯(親知らずは除きます。) が欠損している状態で、矯正歯科治療を必要とする患者さんは保険で治療が受けられるようになりました。これは大きな前進と思いつつ、今後も更に多くの疾患が適応になって、疾患によって歯並び、咬み合わせで悩んでいる患者さんが矯正歯科治療を健康保険で受けられる日がくればイイなぁと思います。


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by nikikai_sapporo | 2012-10-04 08:23 | Dr.大西 康友