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歯科医師が綴るコラム集やお知らせなど【二期会歯科クリニック】札幌市中央区北3条西2丁目 NC北専北3条ビル8F/TEL:011-251-2220


by nikikai_sapporo

コラム・7月号(第21回)/Dr.正木 史洋[ 二期会歯科クリニック・札幌市 ]

「矯正治療・いまむかし」

 今回は矯正歯科・正木の担当で掲載いたします。

 去る6月21日の日曜日、私どもが所属しております北海道矯正歯科学会(http://www.hos.gr.jp)の50周年記念大会が北海道歯科医師会館で行われ、参加して参りました。

 この学会が創立された1959年に比べますと、現在は矯正治療技術、使用される材料は当時とは比べようもなく進歩し、子供から成人まで幅広い年齢層の患者さんが治療を受けておられます。

 戦後十数年ほどが経過したこの創立当時、歯科医は専ら虫歯治療や抜歯、入れ歯の治療に没頭せざるを得ず、歯並び、咬み合わせに問題を見つけたとしても治療できる歯科医は極僅か、殆どは放置されていたように思われます。

 小学校の検診では今のように歯並び・咬み合わせをチェックされることもありませんでした。時代が少し下りますが60年代前半の高校生時代、隣のクラスに、笑うと口の中にぎらぎらと光って見える金属の金具(全帯冠装置)を入れている男子生徒がおりました。

 何でそういうものを付けているのかが不思議で「きっとどこかが悪いのだろうな」と思っていました。そんな程度の認識で、それが歯を動かす矯正歯科治療とは全く知らなかったのです。全校生徒約1500人の中で矯正装置を入れていたのは彼一人だけだったと思います。

 学園紛争が落ち着きを取り戻しつつあった70年代の大学4年生頃に、矯正歯科学の講義の中であの全帯冠装置を見て、「ああ、そうだっ!彼がやっていたのはこれなんだ」と妙に納得、感心したのを覚えています。

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 1971年、矯正治療システムに革新的変化が起こりました。1871年の金属製バンド(帯冠)の発明以来、ブラケット(ワイヤーを固定する金具)はバンドに溶接しそれを歯科用セメントで歯に固定していました。患者さんにとってこのバンドを歯に合わせる処置が苦痛で時間も大変かかる術者泣かせの作業でした。

 これに代わりブラケットを直接歯の表面に接着しバンドが不要となる技術 (ダイレクトボンディング法)が東京医科歯科大学の三浦不二夫教授(当時)のグループにより開発されたのです。

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 以降その接着材は天然歯牙に限らず金属にも接着できるようになり、世界中の矯正歯科医はその恩恵を享受しています。また歯を並べる際に用いる金属ワイヤーはステンレスが主流でありましたが、80年代に入ると、チタン・ニッケル合金による超弾性ワイヤーの出現により、治療初期より非常に弱い力を持続的に歯に加えることができるようになり、患者さんにとってより快適性が増しました。

 更にブラケットの材質もプラスティック、セラミックと多様化し、治療中にも審美性も求める患者さんに対応できるようになってきました。

 このように矯正治療に用いる材料や治療方法は日々進化し続けてはいますが、術者の洞察力やたゆまない技量の向上が不可欠な事は言うまでもありません。

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by nikikai_sapporo | 2009-06-29 12:20 | Dr.正木 史洋