歯科医師が綴るコラム集やお知らせなど【二期会歯科クリニック】札幌市中央区北3条西2丁目 NC北専北3条ビル8F/TEL:011-251-2220


by nikikai_sapporo

<   2015年 08月 ( 1 )   > この月の画像一覧

「TCHについて」

今月は、工藤(智)が担当いたします。

これが初コラムになります。よろしくお願いします。
今回は最新トピックというわけではありませんが、TCHについて取り上げます。

TCHとは、Tooth Contacting Habitの略で、日本語にすると歯列接触癖という
習癖行動を指す用語です。

上下の歯を接触させなければならないのは、主に会話、咀嚼、嚥下(飲み込み)をする時です。これらの行動は、機能的な歯の接触とされ、1日で上下の歯が接触している時間はわずか20分程度です。
意外かもしれませんが、それ以外時間は、通常歯と歯は離れた状態にあります。
リラックスした安静状態では、唇は閉じていて、歯と歯が離れている状態が正常とされています。

一方、TCHによる歯の接触は機能的な接触ではなく、非機能的な時に上下の歯を接触させる癖ということになります。
つまり、誰かと話しているわけでも、何か食べているわけでも、何かを飲み込もうとしているわけでもないのに、歯と歯をくっつけている状態です。

口を閉じる際には、咀嚼筋という筋肉が活動しています。上下の歯が軽くでも接触していると、この咀嚼筋の活動が高まることが知られています。筋肉の活動が高まった状態(筋肉を力ませた状態)が長く続くと、筋肉の痛みの原因となってしまうので、TCHのある方には咀嚼筋の痛みがよくみられます。

またTCHは多くの人が悩まされている顎関節症の原因因子の一つともされています。

この他にTCHのもたらす口腔内の問題として以下のようなことが挙げられています。
・舌、頬粘膜の誤咬
・発語不明瞭化
・口内炎の重症化
・舌痛症の発症
・歯周病の悪化
・歯の咬耗、破折
・歯の圧下
・根管治療時の疼痛持続
・補綴物の脱離
・咬合違和感の発症
などなど歯科的には悪いことづくしです。

日常臨床では、咀嚼筋の痛みや歯の咬耗の具合などから歯ぎしり、食いしばり、TCHが疑われる患者さんをよく見かけます。そのような患者さんにTCHについて説明すると、「そんなことしてないと思うんだけど…」という答えが多く返ってきます。

虫歯や歯周病というのは、レントゲンなどで視覚的に認識できますし、適切な治療とその後のメンテナンスで健康な状態を保つことができます。

しかしながら、TCHというのは癖であって、病気ではありません。多くの場合、患者さん自身に自覚はなく、TCHを強く疑われる患者さんがいても、我々歯科医師もTCHがあるという確実な証拠は示せませんし、それゆえ患者さんへの説得力に欠けてしまします。

現在のところTCHを確実に治す薬も方法もありません。TCHへの対応としては、上下の歯を離しておくよう意識してもらうしかありませんが、言葉でいうほど簡単なことではありません。まず自分が上下の歯をくっつけてしまっているということに気付くことから始めなければいけないと思います。





突然ですが…

起座位で軽く目を閉じ、唇を閉じてみてください。



この時、上下の歯はどこか咬んでいますか?
それともどこも触っていませんか?


どこか咬んでしまっていれば、TCHがあると考えられます。

次に…

唇を強めに閉じて、しっかりと咬みしめてください。
そして上下の歯を離してみてください。



この時唇はどうなっているでしょうか?
唇が離れてしまっている方はTCHの可能性があります。


最後に…

唇も上下の歯も少し開いた状態を保ってください。
そして唇を閉じてみてください。



この時上下の歯はどうなっているでしょうか?
唇に合わせて歯も咬んでしまっている方もTCHの可能性があります。

これらに当てはまった方は必ずTCHがあるというわけではありませんが
顎関節症と診断されたことがある方、咀嚼筋や顎に痛みがある方は特に気を付けて頂きたいと思います。ふとした時に、歯と歯が離れているか確かめてみてはいかがでしょうか?

TCHがあるという自覚をもってもらうこと自体がとても難しいため、日々の診療の中で患者さんに伝えきれず力不足を感じることもしばしばですが、TCHによる症状を防げるようにこれからも頑張って説明していこうと思います。

<参考文献>
木野 孔司 歯界展望 Vol.118 No.2 2011-8

▽総合的な治療が可能な歯科医院です
医療法人 二期会歯科クリニック / 矯正歯科 小児歯科 歯科口腔外科 審美歯科
札幌市中央区北3条西2丁目 NC北専北3条ビル8F TEL:011-251-222
[PR]
by nikikai_sapporo | 2015-08-02 10:55 | Dr.工藤智也