歯科医師が綴るコラム集やお知らせなど【二期会歯科クリニック】札幌市中央区北3条西2丁目 NC北専北3条ビル8F/TEL:011-251-2220


by nikikai_sapporo

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「0%と100%」

今回は「%」についてお話をします。

パーセント「%」という記号は15世紀にイタリアで生まれたといわれています。

もともとはper(~のうち)  cento(100)というイタリア語をPer C.とかP c°などと略して書いているうちに、それがくずれて現在の%という記号になったというのが有力な説です。ちなみに百分率(パーセント %)の他に千分率(パーミル ‰)という単位もあります。

と、今回はパーセントの歴史のお話ではありません。一応今回は歯科治療についてです。

以下、とてもわかりづらい文章ですがこの長い文章を最後まで読むといいことが・・・・・特に待ってません。
個人的な見解をだらだらとつぶやいているだけなので、暇な方はお付き合いください。
すこしでもわかりやすいように「%」が付くところを赤色に変えてあります。


さて、皆さんはどんなときに歯医者さんにいくでしょう。
痛いとき、腫れたとき、詰め物が取れたとき・・・いろいろですね。
そして、みなさんが歯の治療を受けるときに望むことは何でしょうか?

治療内容にもよりますが、多くの場合は
「一回治療したら、それが一生もってほしい。」
ということでしょう。私がもし歯の治療をしてもらうとしたら、やはりそう願うと思います。

私たちを信頼してくださり、
「悪いところは全部治療してください。お任せします。」
といっていただける患者さんもいらっしゃいます。
しかし、その言葉のままレントゲンを撮って、悪いところは全部治療する。小さな虫歯がレントゲンに映っていたら、すぐに全部削って治す、それは果たして正しい判断でしょうか?もちろん、望み通り一回しっかり治療をしたら、一生もつのならすぐにでも治療するのが一番でしょう。

でも「歯医者さんにお任せ」で治療をしたところがおかしくなったらどうしますか?
「信頼して任せたのにだめになった。」と感じるかもしれません。

「お任せします」というのは、任せたからにはどんな結果になってもいいということではなく「後で悪くならないようにちゃんと治療してください。」という意味ですよね。

ここであるデータを見てみましょう。

まず、一本の歯を治療したときに入れる詰め物や冠に関するデータです。
1991年1月1日から2005年3月31日の間に北海道大学歯学部予防歯科で行なった調査から、詰め物や冠のうち10年後まで正常に機能している割合がどれぐらいかを推定した結果です。

・メタルインレー(金属の部分的な詰め物)・・・・67.5%
・コンポジットレジン(白い部分的な詰め物)・・・・60.4%
・メタルクラウン(金属の冠)・・・・55.8%
・ブリッジ・・・・31.9%

となったそうです。

小規模な詰め物なら60~70%が10年ぐらいもちます。
金属の冠なら50~60%ぐらい。
歯を抜いて入れたブリッジになると10年持つのは30%程度になります。
大規模な治療になればなるほど、それが長期間もつ割合は減っていくという結果です。

根っこの治療に関してはどうでしょうか?

・初めて神経をとって治療した場合の成功率・・・約90%
・内部が細菌感染している根っこの場合の成功率・・・60~70%

もちろん歯の状態にもよりますが、大雑把にはこれぐらいといわれています。
この場合の成功率とは治療後に再治療にならない割合という意味です。

たとえばブリッジでは単純計算で20年もつ割合は31.9%×31.9%=10.2%
30年もつブリッジは31.9%×31.9%×31.9%=3.2%

100個ブリッジのうち20年もつのは10個ということになります。30年なら3個
その他の90数個のブリッジはその前に何らかの理由で再治療になる計算です。
ブリッジで言えば一生(一生と言っても人によりますが)もつというのはかなり奇跡的な確率といえます。残念ながら一生もってほしいという望みとは程遠い数字です。


しかし、このような治療する側からみた統計的な数字というのは果たして治療される側にとってどれほどの意味があるでしょうか?

「この前神経とった歯が一本再治療になったけど、成功率が90%なら次の歯の治療は成功するな。」
なんて考えて治療を受ける人がいるでしょうか?


「右側のブリッジは5年でだめになったけど、左側は10年なんともないから成功率は50%か。平均の30%より結構いいな。」
こんな不思議なプラス思考の人がいるでしょうか?

治療される側からいえば、治療がうまくいったかどうかに30%90%もないですよね。

例えば根っこの治療をして一生再治療をしなくてすめば成功率は100%であり、再治療になれば成功率は0%です。

インプラントの成功率が95%と謳っている医院で入れてもらったインプラントがうまくいかなかったら、その95%に何か意味があるでしょうか?自分にとっては成功率0%ですよね。

再治療やトラブルが起こる確率が統計的に何%だろうと、それが一生自分に起こらなければ成功率は100%であり、起こってしまえば成功率は0%になるわけです。

一方治療する側は皆このような統計的な「%」も常に頭にあり、その平均的な数字を少しでも越えられるように工夫や努力をしていますが、それでも再治療というのは遅かれ早かれ起こってくるものであると考えています。

治療がうまくいったと思っても早々に再治療になってしまうということも、少なからず起こります。「治療後の状態がどれだけ維持されるか」は治療行為自体の出来以外の要因によって決まる事も非常に多いわけなので、治療自体に0% 100%もないんです。

極端な言い方ですが「治療した歯が一生もつ」というのは治療行為自体が大成功したというわけではなく、その他の様々な要因も重なってたまたま再治療になるまでの期間がその人の寿命よりも長かったという「結果」なのです。

同じ事のようにみえますが、治療する側とされる側の捉え方にはこの微妙な「ずれ」があります。

治療後何のトラブルも起こらなければこの「ずれ」は問題となる事はありませんが、何かトラブルが起こったとき、この「ずれ」は不信感として表面化してきます。

ですから

・どのような治療を望まれているのか?
・今その歯がどういう状態なのか?
・治療の目標をどこにするか?
・長期的に維持していくためには普段どのようなことをする必要があるのか?
・しっかりケアをしていても起こりうるトラブルにはどのようなものがあるのか?

といったことを出来る限り事前に話し合いこの「ずれ」を出来る限り埋めながら治療を進めていくことが大切です。


この「ずれを埋めること」こそが「治療をする側される側の信頼関係を築くこと」
なのではないでしょうか。

「悪いところは全部治療してください。全部先生にお任せします。」「はい、わかりました。」で治療を始めてしまうのは、一見聞こえがよくてもこの「ずれ」がまったく埋まっていないのです。
「お任せします」と言っていただくことはとても嬉しいことですが、それでもやはりお互い治療についてしっかり理解し合うという事はとても大切です。そのために私たちもできる限りわかりやすく、時間をとって説明するよう努力をしています。わからないことがあったら遠慮なく聞いてください。

もちろんお互い意思統一したとしても望んだ結果にならないこともありますが、それは納得のいかない0%ではなくなるかもしれません。治療される側の捉え方が0%100%しかなかったとしても、お互いの信頼関係によってその中身は変わってくるものだと思います。

というわけで(?)成功率100%の治療は残念ながら御提供できませんが、患者さんとの会話を大切にし信頼度は100%で来院していただけるようスタッフ一同日々精進して参りたいと思います。

最後まで読んでいただいた稀有な方、ありがとうございました。


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by nikikai_sapporo | 2012-09-01 00:09 | Dr.木下 篤