歯科医師が綴るコラム集やお知らせなど【二期会歯科クリニック】札幌市中央区北3条西2丁目 NC北専北3条ビル8F/TEL:011-251-2220


by nikikai_sapporo

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「ワインのこと」

 昨年10月に還暦を迎えたので、その記念にとワイン会の仲間8人で1993年のロマ
ネコンティを飲んだ。ロマネコンティを飲むのは2000年3月、ワインショップ「エノ
テカ」の有料テイスティング以来2回目になる。そのときは小さなテイスティンググラス
一杯が14500円だった。ヴィンテージは同じく1993年で、リリースされてから5
年しか経っておらず、若いピノノワールのやや刺激的な香りと、熟成しきれていない上品
な酸味やふんわりとしたチェリー系の甘味が渾然一体となって、けっこう幸せな気持ちに
なった。それは今でも味の記憶として残っている。その頃はブルゴーニュの赤ワインをあ
まり飲んではいなかったので、とりわけ印象が強かったのかもしれない。
 当時でも高価であったことに変わりはないが、現在の三分の一ほどの価格で買えたので、
また後で飲むためにと1993年産のものは3本ストックしておいた。

 ワインはもちろんブドウを醗酵させて作るものだ。摘み取ったブドウの実を圧搾し、で
きた果汁に酵母菌を加えてオークの樽で醗酵させ、多くの場合2年後に瓶詰めされて市場
に出される。出荷後もワインはボトルの中で熟成して味と香りが変化する。
 品種にもよるが、一般に若い赤ワインはブドウの果実味が強調されると同時に、酸味や
渋みが強く感じられることが多い。それが時を経るに従い熟成された複雑な香りとまろや
かな味わいに変化していく。したがって最もおいしく飲める時期がいつなのかがけっこう
大きな問題になる。同じヴィンテージのワインは3本買って良い条件の下に保存しておき、
数年ごとに変化の度合いを楽しむのが良いとされる。ただしこれは比較的高級なワインに
あてはまることで、ボージョレイヌーボーなどのフレッシュさを楽しむワインや、普段飲
み用の安価なワインは早いほうがおいしく飲めることが多い。
 飲むときのワインの温度やグラスの形態も味わいに大きく影響するが、それについての
詳細は省略する。ただ、冷やして飲むべきワインはシャンパンとデザート用の甘口ワイン
で、渋くてまずいワインも冷やすことによって欠点が隠される。これとは逆にせっかくの
高級ワインも、冷やしすぎると本来の味と香りが充分に味わえないので注意が必要だ。

 フランス料理にはバターや生クリームなどの動物性脂肪分を多く使うことが多いのに、
これらの食事を毎日食べているフランス人に動脈硬化などの血管系の疾患が少ない事実を
「フレンチパラドックス」という。これはフランスでは食事のときにお茶か水代わりに飲
まれている赤ワインのポリフェノールの効果が大きいのではないかと推測されている。
 しかしこれをそのまま日本人に当てはめることは危険である。欧米人と較べて肝臓でア
ルコールを分解する酵素が少ない日本人は飲みすぎると肝機能障害が生じやすい。ワイン
のポリフェノール効果をいいことに限度を超えて飲みすぎて、かえって体を壊してしまっ
ては元も子もない。

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 ごく少数だがワインのラベルにボトルナンバーが刻印されているものがある。これはそ
の年に出荷した同種ワインを1から順番に表記したもので、生産者のこだわりが強く感じ
られる。DRCと略称されるロマネコンティ社の造る6種類の赤ワインと1種類の白ワイ
ンにはすべて、それぞれにナンバリングされたラベルが貼られている。信頼のおけるイン
ターネットショップで購入した3本の1993年ロマネコンティの中の1本に、ボトルナンバ
ーが01012のものがあった。ナンバーを確認して購入したわけではなかったので、これを
目にしたときには正直驚いた。私の誕生日が10月12日、すなわち1012なのだ。
 フランスのブルゴーニュの地で1993年に造られた6000本ほどのロマネコンティの中の
No.01012の1本が、めぐりめぐって札幌の自分の手元に届く確率は一体どれくらいのもの
なのか。 これこそ我が60歳の誕生日に飲むようにとワインの神様が取り計らってくれた
に違いないと運命的な邂逅を感じて、購入してから6年待った。

さてその味はというと、以前とは違ってある意味期待はずれの感があった。2000年に飲
んだときには桃源郷を浮遊しているような心地よさに感激したものだが、今回はその感動
がないのだ。香りは腐葉土のような熟成香が特徴的で、味はといえばミネラル分が強く、
まだ固く閉じられていて華やかさがない。同時にあけた1993年のラターシュのほうが、か
ぐわしいピノノワールのよさが素直に感じられてしまうのだ。この10年の間にいろいろな
ワインを飲んできて少しは良し悪しが解るようになったからなのかも知れないが、それな
りに期待があった分、拍子抜けの感が強かった。

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 その一月後に東京のある老舗レストランで食事をする機会があったので、そこのチーフ
ソムリエにそのことを話したところ、‘93年のロマネコンティは今はまだボトルの中で眠
っているところで、あと3,4年経ったらとてもおいしくなりますよと言われた。
 一般に熟成型のワインはリリース直後には果実味がさわやかで単純においしく感じられ
るが、その後数年は休眠期に入ってしまうことがある。何年かの熟成期間を経て次に目覚
めるときには味も香りも重層感と複雑さを増して、あたかも少女が妖艶な女性に成長する
かのような変化を遂げる。高級なワインほどそれが顕著になる。飲み手としてはそれがい
つなのか興味が尽きない。
 ただし同じ年に同じ生産者から出荷されたワインでも、バレルバリエーションとかボト
ルバリエーションと言って、醸造後に保存する樽ごとの変化や、出荷後のワインの保存状
態の違いによっては当りはずれが出るのも事実である。これも飲んでみるまでは本当のと
ころがわからないワインのおもしろさのひとつだ。

 一緒に飲んだ7人は、ロマネコンティを飲んだということ自体に痛く感激してくれたよ
うで、それはそれでよかった。
 昔からロマネコンティは「味わうワインというよりも語られるべきワイン」と言われて
いるそうだ。何年後かに再び抜栓するときにはどのような出会いがあるのか、少し楽しみ
だ。

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by nikikai_sapporo | 2010-06-01 07:39