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by nikikai_sapporo

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「故事に心打たれる」

今回は、大西が担当します。

最近、映画『レッドクリフ』partⅠ&Ⅱが上映され、映画としての内容はさておき、三国志が好きな方に とって興味津々だったことと思います。私も学生時代から中国の歴史が好きで、特に殷周時代 から三国時代の伝記をよく読んでいましたので、思わずこの映画を見てしまった一人です。

「三国志」(著者:陳寿)は後漢末の動乱期に、様々な志を持った群雄の興亡史として有名です。映画『レッドクリフ』partⅠ&Ⅱはその時代に起こった「赤壁の戦い」を描いたものです。「三国志」の中では「赤壁の戦い」等、様々な名場面がありますが、その中でも、特に「天下三分の計」を諸葛亮(しょかつりょう、後の蜀漢の丞相)が劉備(りゅうび、後の蜀漢初代皇帝)に授けるところは、私が心うたれた場面でした。この出来事を転換期に領土を持てなかった劉備が蜀漢帝国を築いていくわけです。

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【三国時代の勢力図】


さて、そんな有名な「天下三分の計」。この計略を劉備より条件が良かったにも関わらず、採用しなかった人物がいます。それは漢帝国を建国した高祖・劉邦(りゅうほう)に仕えた名将、韓信(かんしん)です。
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【 韓信像】


彼の生涯の中に私が心うたれた故事がありますので、今回、これについて紹介したいと思います。

韓信は紀元前200年以上昔(三国時代より400年以上昔)の人です。若い頃は貧しい身分でしたが、項羽から天下を奪取するために立ち上がった漢王・劉邦に大抜擢され大将軍となります。
韓信は劉邦の期待に応え、その知謀と戦術をもって魏・代・趙・燕・斉の諸国を悉く平らげ、楚(項羽勢)、漢(劉邦勢)をも凌ぐ勢力になっていきました。その韓信に、「天下三分の計」を提案する人物がいます。韓信の説客の蒯通です。
「今、独立しなくては将来、身に危険が及ぶでしょう。」という蒯通の熱心な説得にもかかわらず、韓信は劉邦への恩を忘れることができずにこの提案を退け、劉邦の天下統一を助けますが、統一後、劉邦の功臣粛正の嵐に巻き込まれ、謀反の廉で非業の最期を遂げます。

彼は生前、主君・劉邦と項羽の違いを劉邦に語ります。
韓信「漢王(劉邦のこと)は項王と比べて、勇猛さ、果敢さ、情の深さの点でどちらが上ですか?劉邦「わしはすべてにおいて項王に及ばぬ…」韓信「臣もそう思います。では、項王の人柄を申しましょう。
臣は以前項王に仕えていたことがございますので、彼の人柄を知っております。
項王が激しく怒鳴りつけますと、皆恐怖に駆られ千人の勇者もひれ伏します。ところが、彼は優秀な将軍を抱えているのに、彼らに仕事を任せきることができません。それは『匹夫の勇』と言えましょう。
また、項王は人と会うとき、礼儀正しくて思いやりがあり、言葉遣いは穏やかです。人が病気に罹りますと、涙を流して見舞い、自分の食事を分けてやります。ところが人が手柄を立てて、いざ爵位を授ける時になると途端にケチになり、印の角が磨り減るまで手の上でおもちゃにし、結局授けません。あれは『婦人の仁』と言えましょう。」

このように韓信は的確に項羽を分析し、その弱点をついていきます。「国士無双」とまで言われ、百万もの大軍を自在に指揮した韓信の戦術は、「背水の陣」にも見られるように孫子の兵法を熟知した正しく神算鬼謀でした。天下を三分するまでの勢力を作り上げたのは必然だったのかもしれません。
しかし、韓信は以前、項羽に対して『婦人の仁』と酷評したにも関わらず、自分自身の『婦人の仁』を認識できませんでした。そのために非業の死を遂げたのも必然だったのかもしれません。

私は自分の『匹夫の勇』『婦人の仁』をなくさなければいけないのと同時に、『人の振り見て我が振り直せ』という故事が脳裏をよぎりました。これほどの賢者が人の弱点は見抜けても自分自身の欠点に関しては見抜けなかった。

「史記」の著者:司馬遷は韓信に対して「もし、韓信が道理を学び、謙虚で自分の功績を誇らず、自らの才能に奢らなければ、ほとんど理想的な人であったと言える。」と評しています。
『人の振り』を見切れても、自分の無意味な奢りやプライドが『我が振り』を直せなくしている。謙虚であることが自分を客観視できる一歩であることを学びました。

それにしても韓信が蒯通の説いた「天下三分の計」を採用していたなら…、いったい、歴史はどう変わったのか?歴史にif…、は無意味ですが、想像すると(妄想すると)漢王朝が存在せず、「漢字」ではない文字を私たちは使っているのかな?なんて思ったり、それ以降の歴史も変わって、もしかすると映画『レッドクリフ』は全く別の様相の映画になって楽しめたかもしれませんね。

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by nikikai_sapporo | 2009-10-04 18:57 | Dr.大西 康友