コラム・11月号(第109回)/Dr.森本光一【二期会歯科クリニック・札幌市中央区】
2016年 11月 15日
今回は「ガールズ アンド パンツァー」通称「ガルパン」というアニメ映画の話です。
物語の舞台は、戦車を使用した武道「戦車道」が、華道や茶道と並んで乙女の嗜みであるとされている世界。主人公は、戦車道の有名な流派「西住流」家元の娘である西住みほ。彼女は、訳あって戦車道から逃げるため、戦車道が行われていない学校・大洗女子学園に転校してきます。しかし、彼女の望みとは裏腹に、大洗女子学園でも過去に行っていた戦車道が復活することに。さらに、みほは生徒会長から戦車道の履修と、戦車道全国大会への出場まで強要されます。戦車道の経験者は、みほ1人のみ。戦車道全国大会出場のために集まったのも、一癖二癖もあるメンバーばかり……果たして、みほの運命は!?
つまり女子高生が戦車に乗って戦うという、なんともはちゃめちゃなストーリーなのです。
このアニメ作品は数年前に深夜にテレビ放送されており、昨年末に劇場版が公開されたのですが、その時は全く知りませんでした。たまたまその頃パソコンでやっていたゲームが戦争物で、そのゲームと「ガルパン」のコラボの動画を見たところ、めちゃくちゃリアルでかっこよくて、そこから興味を持ち、ちょうど劇場版のBlu-ray Discが発売されたので迷わず購入して観たら、もうその迫力とストーリー展開にやられてしまいました。
ストーリー展開は昔のスポ根漫画の王道そのものなのですが、野球にたとえるならTV版は野球部を立ち上げて甲子園に出場して優勝するまでを描いたもので、劇場版は学園存続のためにセミプロチームを破った大学選抜チームと戦うこととなり、友情が芽生えた他校と高校選抜チームを結成して立ち向かうといった感じです。魅力的キャラクター(登場人物はほぼ女性のみ!)が戦車に乗って戦うというアンバランスな設定が絶妙です。また、戦車好きのスタッフが集結した作画の緻密さと戦車ってこんなに動くの?と驚かされるリアルな動き、それを盛り上げる音楽と効果音。旧日本軍の戦車がカラー映像で動くのは歴史的にも貴重な資料といえると軍事専門家に言わしめるほどの出来なのです。
もう一つ忘れてはならないのが舞台となった茨城県大洗町との関係です。大洗町は東日本大震災で奇跡的にも津波による人的被害はほぼゼロだったものの、近くに原発があることによる風評被害で町の大きな財源であった観光収入が大ダメージを受け、町は復興しても明るい話題がありませんでした。たまたまアニメの舞台となる場所を探していた制作側の偉い人と大洗町の関係者が偶然に出会い、そこから協力関係が生まれたそうです。実際作品中には数回しか大洗の町中は出てこないのですが、出てくる建物や場所は忠実に描かれています。そこを戦車が走り回って砲撃戦を行い、時には建物に突っ込むといったシーンがあります。女子高生と戦車という非現実的な組み合わせと実在する町のリアルな描写が相まって、この作品はつくりあげられています。
また、大洗町の人たちもファンの人たちといっしょに盛り上がり、とあるTV番組の珍百景で取り上げられるほど、とてもいい関係性を築き上げています。
ある声優さんが「戦車は戦争の道具で怖い物と思っていたのに、この作品に関わるうちに今では丸い砲塔がかわいいと思ってしまうようになりました。」と言っていました。この作品には残酷なシーンは一切ありません、あるのは少女たちの流した美しい汗と涙の青春ストーリーです。
そしてこの作品の感想を伝えるとなるとやっぱり・・
「ガルパンはいいぞ」
となってしまうわけです。近日(近年?)公開予定の完結編も楽しみです。
by nikikai_sapporo
| 2016-11-15 00:14
| Dr.森本 光一